ジュエル♡ハント~治癒王子は愛しの彼女を過保護に守る~
甘々♡ナイトパレード
日向くんに手を引かれたまま、私たちは園内を走っている。
ドラキュラが黒猫を引っ張っている……
「あっあの!日向くんっちょっと止まって……」
「ダメ。そろそろ橙山さんが俺の言うこと聞く番だから」
う……こう言われては大人しく従うしかない。
ようやく日向くんが足を止めたのは、お城の次に高くて目立つ、パークの一番奥にある岩山の上だった。
もちろん本物の岩山ではなく、遊園地の景観に合わせて作られている人工的な岩山である。
閉園時間が近づいているからか、周囲には私たちのほかに誰もいない。
ここに着いたのもつかの間、すぐに抱きしめられた。
けれど、嫌でもないし驚きもしない……いつもは抱きしめられるだけだったけど、今は私も日向くんを抱きしめたかった。
日向くんを感じながら、私も日向くんの背中に手を回した。
私が抱きしめ返すと、日向くんの体がピクッとしたけれど、そのまま抱きしめられ続けて安心した。