Secret love.
「あの方が彼女さんなんじゃない?」

「そうかもね。てかすごいな、本当に写真映えしそうなカクテル。」

「ね。SNSで見た時にオシャレ~!と思って、来てみて良かった。」

「飲んでみたら?」


カクテルと一緒にマドラーも置いていってくれていて、マドラーを手に取ると軽くいちごを潰してから混ぜ、またマドラー立てに戻す。

それから少し口にすると、そこまで度数が高いわけでもなくかなりの飲みやすさだった。


「美味しい!飲んでみる?」

「ちょっとだけ。」


そう言って及川くんも口にすると「うま」と絶賛していた。間違いなく腕のいいバーテンダーなのだと思う。

感動していると後ろから声を掛けられた。


「フルーツカクテルは、彼が独自でメニューには無くやっている物なんですよ。」


その声の主は先程の茶髪のバーテンダーだった。ダーツから戻ってきたのか、カウンター内に入る。


「独自で?」

「そうです、元々フルーツカクテルを出す予定はうちでは無かったのですが、あったら喜ばれるんじゃん?と軽い発想から、ある一人のお客さんに出したらそれが大絶賛で。」

「確かに、ここまで女性客来るならあったら嬉しいかも…。」

「元々オレンジカクテルを作り始めてから、それをずっと頼んでくれている女性が居て、それを見た他のお客様が自分も、と注文してくださる方が増えましたね。」


こんな風にバーに入る事はあまり無いのだけど、そう言う話を聞いていると少し楽しい。及川くんはずっと黙って話を聞いていて、時々ジントニックを口にする。
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