Secret love.
一緒にホテルに戻って、憧れのホテルのスイートルームに「わぁ…、すご…。」と自然と声が出た。

こんないいホテル急に予約取れたのが凄い。それも3連休の真ん中に。

窓側に行って上からの景色を見下ろすと、十分に夜景が綺麗だった。朝は朝でまた違う景色の良さを見せてくれるだろうなと想像するのも容易だ。


「本当、よく急なのに予約取れたね。」

「…急じゃないって言ったらどうする?」

「どういう意味?」

「ずっとこうするって決めてたって事。」


そう言いながら後ろから少し苦しいくらいに抱き締めてくる。


「ずっと前に予約してたの?」

「そう。社員旅行も楽しかったけど、やっぱりどこかに行ったり泊まったりする時は俺が優花を1人占めして、誰にも邪魔されず過ごしたいし。」

「…及川くん、意外と独占欲強いよね?」

「今更気付いたの?」


耳元に当たる息がくすぐったい。耳元で少し笑うだけでも耳に息がかかってゾクッとする。

それに、今まで独占欲なんてそこまで強くなかったはずなのに、今更気付いたの?なんて…。貴方ほどわかりづらい人に会ったことがない。


「大学時代から気が気じゃねぇよ。俺以外の誰かに取られたらどうしようって。でも、自分がした不誠実な行動のせいで、いつか捨てられるんじゃないかとも思ってた。だから、公表して別れたら余計にショックがデカいって思ったりしてさ。」


この人、私がいつから及川くんを好きだったか知らないのか。と、今になってようやく気付いた。思えば、私は及川くんみたいに過去の話をしたことが無い。
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