Secret love.
「…ねぇ、及川くん。」

「ん?」

「私、きっと及川くんがあの映画に一緒に行くって言ってくれた日から少しずつ及川くんの事好きになってたよ。」


そう言って後ろに居る及川くんの顔を見ると少し驚いた顔をした後、私の言葉を少しずつ理解してくると少し顔が赤くなっている様な気がした。


「どういうこと…、両想いだったってこと?ずっと?」

「…そう、みたいです。」

「え、じゃああの抱いた時忘れてって言ったのは?」

「あの時は前話した通り本当に、及川くんの困ったなみたいな顔を見て、そういうつもりじゃなかったんだって思った…。脈無しだと思ったから、大学で終わりにしようと思ってたら同じ就職先だったし…。」


そう話をすると「ああ、俺が諦め悪いから。」と平然と答えた。諦めが悪いと言う事は…。


「え、ちょっと嘘でしょ…?」

「いや、本気。」


この男は私と同じ職場に就職したのは故意的だったとカミングアウトしたのだ。むしろそれだけの不純な動機で就職先を受けて、合格して丸6年も勤務している。それも営業部の頼れるエースとして。

ある意味凄いと言うか何と言うか…、言葉にならなくて唖然とする。
< 112 / 181 >

この作品をシェア

pagetop