Secret love.
「…及川くん、怒ってる?」

「別に。正直人の事ばっか真剣になってて、俺達の事に集中してくれないのは困るって思ってるだけ。」

「怒ってるじゃん。」

「怒ってない!」

「怒ってる!」


及川くんと私がそう言い合いをして睨み合う。

これほど長い付き合いになれば、ある程度及川くんの感情が今はどういう物なのかはわかる。そこまで鈍くはない。


「…あのさ、新田さんの事で悩んでいるんだろうけど、何がそんな気がかりなの?」


溜息を吐いてそれから問われた言葉に、どう答えていいか分からなかった。なぜなら、及川くんが実季と課長の話をどこまで知っているのか分からないからだ。私から話す訳にはいかず、口を噤んでしまう。

及川くんがそんな私の様子にそれ以上問い詰める様な事をしなかった。


「良いんだけどさ。いくら友達と言えどもう本人達の恋愛の事そこまで優花が心配したり、気に掛けたりする必要無いと思う。正直俺達の事も後数か月でどうなるか本格的に決まる訳だし。」

「…そうだよね。ごめん。」


及川くんの言っている事が正しいと思った。人の恋愛よりも自分達の事をもっときちんと考えなきゃいけない。

及川くんと将来を過ごしていくことに何も迷いはないけれど、それでもこれから一生を過ごす相手だと思えばこの1年を考える時間にもっと使わなければならない様な気がした。
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