Secret love.
「…俺は行きますんで、後2人でどうぞ。」

「太一、ありがとう。」


私に「いえ」と短く返すと、エレベーターの方に向かっていく。その際、及川くんの横を通り過ぎる時に少しだけ立ち止まった。


「ひとまず独占欲出すくらいなら秘密なんかやめちゃえば?と思いますけどね。中途半端でだせぇから。」


明らかに及川くんに向けられた言葉に驚いた。太一は誰かに喧嘩を売る様な人では無いのに、揉める様な発言。

及川くんは太一を見るだけで何も言い返さない。太一もそれだけ言い残しこの場を立ち去って行った。先程の少し穏やかな時間とは違い、及川くんが来た瞬間にこの場は緊張感に包まれた。


「姫野さんとお昼してたんじゃなかったんだ。」

「何か話したそうにしてただろ。でもそれよりもあいつ知ってるの?」

「何回違うって否定しても信じてくれないから、認めちゃった。」


私が太一に勝手に話した事を責めるでもなく「そっか」と言って、そのまま私の隣に立って自販機にある飲み物を選んでいる。

今は及川くんが何を考えているのか分からない。


「…最近仲良いんだね。」

「ああ、姫野さん?」

「うん。」

「別に仲良いって事は無いと思うけど。」


ここまで話を振っても直接的に言わないと、カフェで2人で話していた事を話す気はないらしい。今この場では誰が来るか分からないからきちんとした話し合いが出来ない。
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