Secret love.
そもそも私が不安だと言っている事に関してまずは解決をしてほしいのに、これじゃ揚げ足を取り合っているだけで何の解決も出来ない。


「あの男なんて呼び方やめて。そもそも太一は姫野さんみたいに、異性に意味なく触れたりしないし、私にその気を見せたりもしてない。」

「自分は不安だとか言うけど、こっちの不安は全部無視だよな。」


私から顔を逸らしてそう呟く及川くんの言葉に耳を疑った。

そもそもこんな状況を作り出しているのは全部全部この秘密のせいだというのに、私が及川くんの気持ちを無視されているという言い方をされたことに納得がいかなかった。

恋人関係は秘密だなんて約束が無ければ、姫野さんが及川くんに触れているのを無視せず、距離が近いって堂々と言えた。こんな不安もある程度自分でもなんとか出来た。

及川くんだって、太一に遠慮をする理由だってなかったはずだ。

今まで及川くんの理由があって秘密にしたい気持ちを汲んで、私なりに大事にしてきたはずだったのに、全部無視していると言われてすべてどうでも良くなった。


「不安はそもそも自分のせいじゃないの?」

「は?」

「秘密になんてしなかったら、お互い恋人だって誰かに牽制も出来て堂々としていられたよね。」

「それは…!大分前に説明して優花も納得してただろ。」

「そうだね。でも、こんな風に何度も太一との仲を疑われて、太一が悪く言われるなら、秘密なんてしなきゃよかったと思う。」


これ以上話しても無駄だとソファーから立ち上がった。冷静になれない内はずっと揚げ足の取り合いを続けるだけだと思ったから。
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