Secret love.
その日の帰り、同期達と別れて初めてその場からスムーズに同じ家に帰る。いつもは家の最寄り駅で待ち合わせとか、離れた所でタクシーに乗って家に帰ったりこそこそしなければいけなかったのに、今日はそんなことをする必要がなくなった。


「…急に何で付き合ってる事言ったの?」

「やめよって言ったじゃん。あの日。」

「やめよって…、わかりずらすぎない…?」


喧嘩して、もう少しだけ待っててと言われたあの日の事を言っているのだと思う。まさかこのことを意味していたなんて想像もできない。


「今日言おうって思ってたら優花の熱い告白が聞こえてきて、思わずきゅんとしちゃった。」

「及川くん!」


やっぱり聞いていたんだと分かって顔が熱くなる。聞かれたこともだけど、こんな風に揶揄われるのも恥ずかしい。


「結婚の事悩んでそうだから、ここ最近はちょっと焦ってた。」

「それは…、悩んでたけど…。」

「分かってるよ。俺の我儘と中途半端な態度のせいで優花を不安にさせてたから。身の回りでも職場でもごちゃごちゃ言われるのが嫌だったって言うのもあるけど、ちょっと俺の中でもトラウマがあったから。」

「トラウマ?」

「うん…。大学の友達に言うのは、何かめちゃくちゃ照れ臭かっただけだけど、会社内で言うのはちょっと不安だった。」


及川くんが何の話をしているか分からない。そのトラウマの事に関して突っ込んだ方が良いのかどうかも分からないし…、と及川くんが話し出すのを待っていた。
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