Secret love.
やる事を済ませるとテーブルの上に購入した物を乗せて、約束していた映画をテレビで点ける。


「結末知ってるのに最初から本当に見れる?」

「大丈夫だって。」


そんな会話だけして始まればすぐに映画に釘付けになる。他の事を考えるのは、飲み物を飲む時だけ。

映画も後半になるまでそうだったはずなのに、よくある恋愛シーンに入ればただただ感動していたのだけど、すぐに気は逸れた。その瞬間に膝上に乗せていた自分の手を及川くんがそっと手を取ってきた。

驚いてそちらに顔を向けると、及川くんはこちらを見ずに映画を見ている。何も起きていない様な普通の表情で。何を考えているのか聞きたかったけれど、映画に視線を向けられているから話しかけられず、握られた手はそのままにして、映画が終わるのを待った。

先程まで何も意識もせずに映画に集中出来ていたはずなのに、今は及川くんに握られた手を見ている。ドキドキして、どうしたら良いか分からなくなって、目が逸らせない。

そのまま映画が終わると、急いでスマホを手に取って時間を確認した。時刻は23時を過ぎていて、そろそろ出なければ終電に間に合わなくなる。


「あ…、そろそろ、帰ろうかな。」

「泊まってけば?」

「泊まるって…。あ、及川くん酔ってるんでしょ。好きな子とかと、勘違いしてる。」


そう言っている間にも及川くんは身体の距離を近付けてきて、そっと身体を抱き寄せる。その間も真っ直ぐ見つめてくる目から逃げたくて、顔を逸らす。
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