Secret love.
そのタイミングで目の前の大きな扉は開かれ、3歩ほど歩いて会場の中へと足を踏み入れる。

中は白い内装が特徴的で、大きな窓ガラスから陽が差し込んでいて全体が明るく綺麗だった。床には白いカーペットが敷かれていて今からこの上を歩いて愛おしい人の元へと向かう。

憧れていた光景が目の前にあるのが未だに信じられなかった。

入口で母が待っていて向かい合うと、優しく微笑んで「おめでとう」と言葉を掛けてくれた。母に私も「ありがとう」と返してベールを被せやすいように背筋を伸ばしたまま少しだけ腰を落とす。

前にベールが下りてくるのを確認すると、元の体制に戻ってまた母と目を合わせる。その後「いってらっしゃい」と見送られ小さく頷くと再度父の腕を掴んだ。

母から受ける最後の身支度に既に涙腺が緩んでいたけれど、泣くわけにはいかないと何とか保つのに必死だった。ここで泣いてしまってはすべてが台無しになる。

ここまでこなしてようやく前にいる歩くんの方に視線を向ける。歩くんもこちらに向いていて、白いタキシード姿は言うまでもなく似合っていたし、本当にどこかの国の王子様の様にも見えた。

同時に本当にこの人と結婚するんだ、とここでようやく実感が湧いてくる。

参拝者の方々に拍手で出迎えられるも、意識はずっと歩くんに向いていて周りの音がすごく遠く感じた。
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