Secret love.
そのまま鞄を人質…、いや、物質に取られ大人しく居酒屋まで着いていき、楽しく飲んで帰る時に私達の関係性が再び動き出した。

ただ帰りは歩いて及川くんが私を送り届けてくれてその日は終わるはずだったのに、その時の私にとっては幸せな瞬間だったけど、今はこの人の気持ちは見えないままだったなと思う。


「何か、2人で酒飲むのあの日以来だったな。」

「あの日って…、あの映画の日?」

「そう。結局俺は川﨑に避けられたから1人で全部見たし、映画館には違う奴を拉致って連れてった。」

「またファイナルからしか知らない仲間を増やしてたんだ。笑っちゃう。」

「笑えないって。川﨑と行きたかったのに。」

「…それはどうも。」


この人からしたらきっと話が合う人と行きたかっただけだと思う。思わせぶりな発言に意味なんて無い。

この話題を逸らしたくて「中々2人にはなれなかったけど、大学では変わらずいい友達だったし、楽しかったよね。」と話を逸らした。すぐに及川くんから同意の言葉が飛んでくると思っていたのに無言で、何も返って来ない。

こんな気まずい展開になるなんて、今更誰も予想なんてしていなかったと思う。


「…結局、あの日何で俺が川﨑に手を出したかって、理由考えてくれた?」

「え?何の話?」

「何で、手出してくるのかみたいなことを聞いてきた時に、自分で考えろって返事したでしょ。俺。」


そんな会話したような気はするけど、今更意味が無いと思って考えなかった。あの時にした及川くんの表情が全てだと思っていたから。
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