Secret love.
やっぱり他の女性と匂いが移るくらい一緒にいたんだ。そう思えば近くにいるのが嫌になって思い切り突き飛ばす。

私が不安になっていた間、この男はどんな状況でか知らないけれど匂いが移るほど近くに女性を置いてこの時間まで楽しんできていた。

突き飛ばされた及川くんは驚いた表情をしてから、首をかしげている。


「…何か言うことないの?」

「え…?何で怒ってんの?」


及川くんは不安そうな顔になって、私の方に近付いてくる。まだ酔っているのか顔は赤く目は潤んでいる。


「今日、何してたの?連絡も返さずに。」


声が怒りと不安で震える。泥酔しているこの人に話を聞こうと問いかけても、まともな答えなんて返ってこないとわかっていたけど、聞かずにはいられなかった。


「何って…、お店で、お酒飲んで…?」


自分でもきっとどうやって帰ってきたかも記憶にないのだと思う。及川くんの態度に呆れて溜息を吐いて、ブランケットを掴んで今夜はリビングのソファーで眠ることに決めた。

どこの女と何をしてきたかわからない状態で一緒に寝たくない。


「…優花?どこいくの?」


そう言って手首を掴んでくる手を思い切り振り払う。


「臭い。触らないで。お風呂入ってきて。スーツも匂い染みつくから寝室におかないで。」


それだけ言い放つとソファーに向かっていく。今日はもう何も話したくない。
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