Secret love.
家に戻ると及川くんの靴があった。実季と会ってくると連絡をしたけれど、実季を泊めると言う話はしていないから、驚くかもしれない。

リビングの方に行くとキッチンで水を飲んでいた及川くんが「おかえり」と声を掛けてからこちらに向くと、少し驚いた表情をしていた。実季は苦笑いして「お邪魔します」と挨拶をしていて、及川くんは軽く会釈している。


「…何事?」

「今日、実季を一泊させようと思って。」

「あ、そうなんだ。」


そう言うと「ちょっとごめん」と実季に苦笑いして声を掛けて、私に「ちょっといい?」と言いながら返事を聞く前に私の腕を引いて寝室に連れ出した。ちょっと強引な所があるのは人の前だろうと変わらない。

寝室のドアをゆっくり閉めると私の方に向いて「どういう事?」と問い掛けてきた。


「…私の口からは言えないけど、事情があるって事だけは分かって。」

「加藤が関係してる?」

「知らないし、言えないってば。」

「じゃあ今日泊めなきゃいけなかった理由なんなの。俺達に話さなきゃいけない話あるのに他人の世話焼いてる場合?」

「そんな言い方しなくて良いでしょ!」


そもそも不安にさせてきたのは及川くんだし、悪いのも及川くんなのにどうして私が責められているのか分からない。
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