Secret love.
「…明日、実季出て行くって言ってたからそれからでもいいでしょ。」

「じゃあ今日はまた別々で寝る気?」

「何の話して…。」


そこまで言って昨日夜ソファーで寝たはずなのに今朝ベッドに移動されていたのを思い出した。移動してくれた人は及川くんなのは分かっているけど、質問の意図がわからない。

確かに解決はしていないから、今はあまり一緒に居たくないとも思っているけど、実季も来ているし変な態度は取れない。


「約束したよね?喧嘩しても何しても、一緒に寝て変わらず朝は一緒に迎えるって。その約束破られた事怒ってるんだけど。」


怒っている理由がとんでもなく可愛くて困る。一緒に寝られなくてこんな怒り方してくる28歳男性が一体どこにいるのか。


「わかった、わかったから…。今日は一緒。」

「明日は何が何でも話すから。何か優花とんでもない誤解してそうだし。誤解を与える様なことした自覚もあるけど…、それもちゃんと話すから。」

「…先に聞くけど、浮気してない?」

「するわけないだろ」


まだ何も解決していないけど、迷いなく浮気なんてしてないと答える及川くんを今は信じる事にした。今は実季もいるし問い詰めようがない。


「もうその質問でやっぱり誤解されてたの分かる。てか、何がそんな不安になんの?」

「そんなん…」


及川くんが誰にも私を彼女だと言ってくれないからでしょ。


この言葉は声になっては出てこなかった。交際して4年も経つのに、親に会わせてもらったこともない。結婚を考えている様子もない。だから、及川くんの未来にきちんと私が居るのか不安になる。


「明日、まとめて話す。実季が心配するから行くね。」


そう言って及川くんをその場に置いてリビングに戻った。
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