Secret love.
「部屋割り、部署ごとの指定は無いみたいだよ。1人部屋には限りあるから上層部以外は2人部屋だけど、誰でも良いみたいだから新田さんと組めば?」

「そんで実季に頼み込めって?嫌だ。実季と夜通し話すから。」

「え、彼氏より友情?」

「ずるい事を考える男のいいなりになりたくないだけ。」

「良いじゃん~!俺これしか楽しみないのに!」

「だから勝手に楽しみ作んなっての…!」


料理をしている私に後ろから抱き着いてきて、駄々を捏ねている。可愛い場面なのかもしれないけれど、今は危険だからやめてほしい。

職場では及川くんは頼りがいのある人なのに、家だとこんなに甘えん坊で強引になるのが不思議だった。この姿を私しか知らないとすれば悪くないけれど。

少し後ろに振り向いて及川くんを見ると、及川くんもこちらに顔を覗き込んできていて顔の距離が近くなってしまった。目が合うなり「ん?」と微笑んでいるのも可愛い。


「…料理中だから離れて。」

「離れて欲しくなさそうだけど?」

「今は危ないんだってば!」


笑いながら及川くんの頬をぐっと掌で押すと、及川くんも笑ってようやく離れる。そこでようやく着替えに行くのを見て軽く一息を吐く。
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