Secret love.
「課長と恋が始まるかも~って考えたりする?」

「いや…、今は考えられないわよ。別れたばっかだし、朝倉さんとも住み始めて間もないし、朝倉さんもそもそも私をそんな風に見てない。部下だから放っておけなかっただけよ。」

「でもさ…。」


そこまで言って、両手を口元で抑えた。もしこれが本当にそうであれば、今実季に言うのは野暮というやつでは…?と思い直したのだ。

うちの会社には社員寮が存在する。それなりに綺麗なマンションだし、新入社員以外にも家族でそこに住む者もいるし、もちろんそこに住むのは強制じゃないのでそこ以外で住んでいる人も大勢いるが。

実季は社員寮には元々入りたくないって言っていた人で、今回ばかりはそうも言ってられないから課長から社員寮の提案を本来なら受けるはずだ。それがまた別の提案できっと一緒に住まないかという提案をされて、それに実季が乗っかったと予想している。

それって…、課長は実季に気があるのでは…!?


「…課長って何歳だっけ?」

「34とかだった気がする。この間誕生日来たんじゃないかしら。」

「5個上か、全然いけるな。」

「何の話してるのよ、優花。」


勝手に盛り上がっている私に、呆れ笑いをしている実季。上司との恋なんてそんな楽しそうな話はない。


「いや…、社員旅行楽しみになって来た!」

「え…?」


会社の人間が同じ宿に泊まるのだから何かあってもおかしくないよね…?と思わずにやけてしまう。そんな私を不審な顔で見ている実季には全く気付かない。
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