Secret love.
総務部にも部屋割りの事について、実季に同意を取った上でメールを送って、今から少しワクワクしていた。

あんなに辛い恋をした後だからきっと実季はその気になれないと思うけど、次の幸せを願うのは悪い事ばかりじゃないはずだ。

勝手にわくわくした感情を持っていると後ろから「川﨑、ちょっといい?」と声を掛けられて振り返る。その声の主は同じ経理課の加藤くんで、私のテンションはがた落ちだった。

緊張した表情をしている加藤くんに短く「何でしょう」と返す。単純に職場だから敬語で返しただけなのだけど、それには相手を少しばかり驚かせるほどの威圧感があったらしい。


「ここじゃ…、ちょっと廊下いい?」


そう呼び出されオフィスの外で話す。


「あのさ…、ここ最近実季がどこで過ごしているか知ってる?」

「それ聞いてどうするの?」

「ただ心配なんだよ。家も急に出て行って、実家も近いわけじゃないのに。もしかしたら川﨑の家なのかなって。」

「浮気した挙句ここまで放置しといて、良い人ぶるのはやめなよ。そもそも家を出て行かなきゃいけなくなったのは誰のせい?」


私の言葉ではちゃんと自分のせいだという自覚はあった様で、何か言い返してくる様子は無い。何もかも中途半端で、最低な事をしているのだから言い返せるはずがない。
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