Secret love.
旅館に戻ってから温泉に入って、浴衣を着て実季と用意をする。


「課長とデート出来た？」

「んー…、デートでも無いし…。」

「何かあったの？」

「いや、楽しかったわよ。2人でまわれた事に関しては。ただ、ちょっと突っかかられちゃって。隆太に。」

「はあ？あいつまだ何か言って来てるの？」


一ヶ月ほど前にあんな別れ方をしておいてまだ何かを言える神経を疑う。実季は少し浮かない表情をし、それから苦笑いして「早く終わってほしいよね、この話」と言葉にしていた。

恐らく予想ですらないけれど、既に姫野さんに相手にされていないのではないかと思っている。それでどうにか実季の気を引きたいのではないかと思っていた。


「…ま、私にはもうどうでも良いから。行きましょ。宴会場。」

「あー、今日もお酌まわらなきゃダメかな。まわると決まって飲まされるんだけど。」

「こういう飲み会の定めよね。」


2人で溜息を零しながら、部屋を出て会場までの道をゆっくり歩いて行く。

営業課は特にお酒に強く、飲ませてくる人が凄く多いので実季は特に気が重いのだと思う。私は近寄りたくなくて遠目から見ているだけだ。
< 87 / 181 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop