Secret love.
「別に付き合ってても言いふらしたりしませんて。でも及川さんと付き合ってるなんて知られたら妬まれそうだし、大変っすね。先輩そんなメンタル強い方じゃないですし。」

「もう付き合ってる前提で話進んでるじゃん…。」

「てか俺には隠し事しなくてもよくない?誰に言いふらすんですか。川﨑先輩が及川さんと付き合ってます~って。」

「…それはそうだけど、ていうか知ってどうすんのさ。興味無いでしょ?」

「身近な人のゴシップは面白いじゃないですか。」

「悪趣味だね。」


グラスに入っていたビールも飲みほしてそろそろ部屋に戻ろうかと思っていた。スマホを見ると実季から«そっちに行けなくてごめん!»と律義に連絡が来ていてスタンプで«大丈夫だよ»と意味合いのもので返す。

チラッと加藤くんの方を見ると経理課の先輩と居るだけで姫野さんとはいない様だった。姫野さんは営業課の人が集まっている所に居てちゃっかり及川くんの隣をキープしている。

時々ボディータッチの様なものをしているのが気になるけれど、そんな嫉妬も押し殺して立ち上がった。


「じゃ、戻るから。」


そう言って立ち上がろうとすると急だったからかふらっとして倒れ込みそうになる。


(わ、転んだかもこれ。)


直感的にそう感じたけれど後ろからお腹に腕が回されて支えられて転ぶのは防がれた。
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