Excessive love.
「…姫野さんに彼氏取られたって言ったら驚く?」

「あー」


 私の乾いた問いかけに、納得の声を漏らしながら、苦笑いを浮かべた。そこに驚きは微塵もない。

 彼自身も姫野さんからの過剰なアプローチを受けているし、隆太の性格も知っている。及川くんのその反応こそが、彼女がどういう人間かを物語っていた。


「ま、気にすんな。加藤がそういう男だったってだけじゃん?」

「自分も浮気疑われてるのに人の事慰めてる場合?」

「浮気してませんから」


 及川くんはわざとらしく溜息を吐き出すと、少しだけ視線を落とした後「これから仲直りのお願いに行くつもり。それと、今日のデートのお誘いも」と言い残して、彼は自分のデスクへと戻っていった。

 二人の喧嘩は珍しくないけれど、今回はいつもより修復に時間がかかっている気がする。及川くんの背中には、いつもの余裕が消え、どこか焦っている様な気がした。

 私が気にすることではないと分かっていても、親友の事だと思うと、どうも胸の内側で引っかかってしまった。
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