Excessive love.
「…何でこんなに目が腫れてるんだ?」

「え、腫れてる?」

「おいで。早く冷やそう」


 私が靴を脱ぐのを見届けると、彼はそのまま私の手を取ってリビングへと促し、ソファに座らせた。

 冷凍庫から保冷剤を取り出し、手際よくタオルで巻くと「これ、当てて」と手渡してくれる。

 こんなにも私のことを大切にしてくれている。それなのに、一体何を不安に思う必要があったのだろう。これまでの元カレたちと直樹さんを一緒にして比べていたなんて、私はどうかしていた。

 何も言わなくても抱きしめてくれて、少し帰りが遅れただけであんなにも必死に探そうとしてくれる。この人のどこに、不信感を抱く余地があるというのか。


「…何で泣いた? 何か辛い事があった? 原因は俺?」

「違う。本当に何でも無いの」

「泣いたんじゃなくて腫れたならそれはそれで、俺は今すぐ君を病院に連れて行かなくちゃいけなくなるけど」

「大丈夫なの! もう、全部解決したから」


 無理に作った笑顔を見せても、直樹さんはまだ心配そうな表情を崩さない。だけど、隆太に会ったことも、写真のことも、今は話したくない。直樹さんに不快な思いをさせたくないし、これ以上、余計な心配をかけたくないから。

 私自身がもう大丈夫だと思えたのだから、それで十分だ。

 私の頑なな様子に、直樹さんはようやく少しだけ表情を緩め「分かった」と引き下がってくれた。


「実季が夕飯まだなら外に食べに行こうかと思ったけど、今日はやめておこうか。デリバリーでも頼む?」

「え、作るよ」

「疲れただろうし、ゆっくり休んで。俺がさっと作れればいいんだけど、俺が作ったら無駄に時間が掛かりすぎるから、休日の日にするよ」


 そう言って笑うと、彼はスマートフォンを手に取った。

 いつだって私のことを最優先に考えて動いてくれる、そんな直樹さんがたまらなく愛おしくて、私は思わず背中から彼に抱きついた。


「本当に、好き。直樹さん」

「…不意打ち心臓に悪いな」


 驚いて身体を固くした直樹さんだったけれど、すぐに困ったように笑い、私の目元に優しい口づけを落とし「俺も好きだよ」と迷いのない言葉をくれた。

 もう、不安に思うことなんて一つもない。
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