Excessive love.
「どうして見なかったんですか? 写真。すごく綺麗に撮れてたのに」

「わざとだったんだ」

「そうですよ。だって、私先輩と課長に別れてほしいですもん」


 いつもの、猫なで声を出して媚びるような笑顔はどこにもない。それどころか鏡越しに、隠そうともしない剥き出しの敵意をこちらに向けてくる。

 いつからあんな表情で私を見ていたのか。彼女にこれほど冷酷な顔をさせてしまうほど、私は無自覚に何かをしていたとでもいうのか。


「あなたに関係ある?」

「単純に先輩の事嫌いなんですよ。良い人ぶってるのか知りませんけど、無駄に私の事庇ったりするところも、貴方の為ですよみたいな感じで仕事のアドバイスをしてくるのも、男と同等になんかなれるわけないのに、仕事をこなして同じ目線で及川先輩とかと張り合おうとしているのも、全てが気に障るんです」

「嫌いだからって攻撃してくるの、随分子供っぽいのね?」

「別にどう思われても、いいですよ~。嫌いな人が不幸な所を見ているのは単純に楽しいです。それなのに、りゅうくんとの事はがっかりでした。思ったより、先輩が傷付いてなくて」


 隆太と私が別れた後、そのまま彼らが付き合う話にならなかった理由が、ようやく腑に落ちた。彼女にとって隆太はさほど興味の対象ではなく、ただ私を攻撃するための道具として利用されたに過ぎなかった。

 チョロい隆太を落とし、私の心を壊せると思っていたのなら、当時の彼女はさぞ気分が良かったと思う。


「ここからが本題ですけど、私先輩が課長と別れてくれないならあの写真ばらまこうかなと思うんです。匿名で」

「は…?」


 一瞬、何を言われたのか理解が追いつかなかった。

 だけど、血の気が引いていく感覚とともに、激しい後悔が襲う。

 あの時写真を見ておくべきだった。
 一体、どんなふうに、どんな角度で、二人は抱き合っていたのか。
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