Excessive love.
 翌朝、いつもとは違う天井を見上げながら、私は早くに目を覚ました。

 通勤ルートが変わることもあるけれど、何より朝食の準備をするためにいつもより早く起きた。

 昨夜、朝倉さんが部屋に引き上げた後、こっそり冷蔵庫の中身を確認して下準備は済ませておいた。

 手早く調理に取り掛かり、朝の忙しい時間を無駄にしないように効率よく調理を始める。

 隆太と暮らしていた頃も朝食は私の担当だった。だけど、準備してもらうことが当たり前になり、感謝も手伝いもしない彼に嫌気がさして、いつしか凝った料理を作ることはやめていた。

 だから、こんなふうに誰かのために気合を入れて料理をするのは、随分久しぶりな気がする。

 調理を始めて二十分ほど経った頃、廊下から足音が聞こえ、朝倉さんが姿を現した。


「あれ、おはよう。新田」

「おはようございます。朝倉さん」

「良い匂いしてるんだけど…、もしかして朝食作ってくれてる?」


 キッチンを覗き込みに来る朝倉さんに、私は少しだけ緊張した。勝手な真似をして、気を悪くさせていないか、と。


「勝手ながら朝倉さんの分も作ったのですが、よろしければいかがですか?」

「え、本当に? 俺までもらっていいのかな」

「もちろんです!お口に合えばいいのですが…」


 そう言って出来上がった料理を並べようとすると、朝倉さんは「ありがとう、助かるよ」と言って、自然な動作で食器やカトラリーを運ぶのを手伝ってくれた。

 少しだけ、胸が熱くなった。

 誰かと一緒に準備をすること。そんな当たり前のことが、私にとってはひどく久しぶりで、贅沢なことに思えたから。

 最近の隆太は、私がすべて並べ終えてからようやく椅子に座るのが常だった。手伝うどころか、いただきますの一言すらないことも珍しくなかった。
< 25 / 142 >

この作品をシェア

pagetop