Excessive love.
 並んだのは、至って定番の和食だった。茹でた鮭に卵焼き、ほうれん草のお浸しとかぼちゃの煮物。わかめと豆腐の味噌汁に、白ご飯。

 鮭は以前、隆太から「焼かないの?」と驚かれたことがある。だけど、こうして茹でた方が身がふっくらしてパサつかず、私は好きでこの方法を選んでいる。

 今思えば、何が好みかもわからない初日は無難に焼いた方が良かったかもしれないと、少しだけ後悔した。

 朝倉さんは「いただきます」と丁寧に両手を合わせると、まずは味噌汁に口を付けた。

 誰かに料理を振る舞ってこんなに緊張するのはいつ以来だろう。
 心臓の音が耳元まで届きそうで、落ち着かない。


「うん、美味しい」

「わ、良かった~! お口に合わなかったらどうしようかと…」

「料理上手だな。朝から大変だったんじゃないか? こんなに用意するの」

「ちょっと気合い入れました。The 定番という感じの朝食ですけど」

「これ、鮭は? 茹でたの?」

「そうなんです。焼いたものも美味しいのですが、これも好きで」

「焼き鮭しか食べた事無いかも」


 そう言って、朝倉さんは楽しそうに笑いながら鮭に箸を通した。

 こうしてゆっくりと二人で時間を過ごしてみて、改めて気づく。

 朝倉さんは会社だけでなく家でも姿勢が良く、箸の持ち方や食べ方が綺麗だ。

 それでいて、会社ではきっちりセットされている前髪が、今は無造作に降りている。その少し気の抜けた姿が、オフィスでの彼とは別人みたいに幼く、可愛く見えて、そのギャップに、私は密かに胸を打たれていた。
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