Excessive love.
「変な感じだな。自分がまさか料理しているなんて。」

「今までは外食が多かったんですか?」

「そうだな。時々デリバリーしたり…、後接待も多かったりして自分で作る必要性は今まで感じなかったけど、最近はちゃんとした方が良いんだなって考えが変わってきた。」


今は便利な世の中になったし、確かに料理が出来なくても困りはしない。特に、ここは安住さんが時々料理の作り置きをしていってくれていたみたいだったし。

必要が無かったのに私の手料理を食べて身体の調子がいいと喜んでもらえるのは嬉しかった。


「これから生徒が飛び立つ前に料理の先生に先にいなくなられたら困るから、まだいなくなるなよな。」

「え?」


朝倉さんの言葉に思わず聞き返すと、朝倉さんは変わらず手元のじゃがいもに視線を向けている。

表情が読めなくて何を考えているか分からなかった。


「急いで家を探す必要がないって言いたかった。」


朝倉さんの静かな声にどう返事をしたらいいか分からなくなった。こんな風に男性の誰かに優しくしてもらって受け入れてもらえる事あったかなと思ったから。

私をしっかりした人だと甘えてくる男性が今まで多くて、そのまま彼氏になる事が多くて、受け入れていたら今度は頼られたいのに全く頼ってくれない可愛げのない女だと離れていく。

こういう時どういう風に甘えていいのか分からなくて、考え込んでしまっていると朝倉さんがこちらに向いた。


「難しく考えないで。新田がすぐにでも出たいならそれは止められないけど、俺はむしろ居てくれた方が助かっているから、新田がここに居るのは俺の為にもなるって思ってくれたら…、って、これはこれで気が重いか…。

とにかく、助かってるから俺に迷惑が掛かるとか思わなくていい。」


朝倉さんらしい言葉で伝えてくれていてその厚意は素直に嬉しいと思った。甘え下手な私にどこか寄り添う様な言い方も、すべて。


「…ありがとうございます。じゃあ、朝倉さんの料理が上達するまで、お世話になります。」

「助かる。」


そう言って笑みを零すと作業に戻っていた。
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