Excessive love.
「…分かった。優花、朝倉さんの所行ってくるね」

「行ってらっしゃい」


 平静を保とうとしているけれど嬉しさが滲み出ている優花と、もはや隠す気ゼロで鼻歌でも歌い出しそうな及川くん。二人をその場に残して、私は前を歩く朝倉さんの元へと向かった。

 少し先を、周囲の喧騒に流されないゆったりとした足取りで歩いていた朝倉さん。その隣に並ぶと、彼は私に気付くなり、ふわりと柔らかな笑顔を向けた。


「ご一緒してもいいですか?」

「及川に行けって言われてきた?」

「川﨑さんとまわってたら、隣奪われました」


 事情を察しているであろう朝倉さんに、苦笑いしながら説明すると、朝倉さんは少しだけ肩をすくめていた。

 その表情には一応、止めたんだけどね…と、少し呆れたような表情も入っている。


「何故か及川が俺達の仲を誤解して、俺が川﨑さんとまわってきます! って言って、そうなった」

「及川くん不思議な所ありますしね」


 百パーセント、優花と二人きりになりたかっただけだろうけれど、そこについてはあえて触れずにいた。

 朝倉さんも、チラリと後ろを振り返って及川くんの様子を見ていたから、何となく察しているのかもしれない。それでも、朝倉さんはそれ以上何も言わなかった。

 そもそも朝倉さんは、他人の行動に深く首を突っ込むタイプではない為、察していても何も言わないのだと思う。
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