離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
「俺になにか変なところでもあるか?」
「ううん、平気ならいいの。でも、さっき会いに来た女性……お母様だって、受付した社員に聞いたの。財前くんのおうちは高校の頃にご両親が離婚したって言う話は聞いていたから、もしかして複雑な気持ちになっていたりするかもって……」
「四季」
やはり、最近の彼女は少しおかしい。
会社で『財前くん』と俺を呼び親し気な態度を取ることも、以前はそれほど多くなかったのに……。
「うん、なに?」
「きみには、近いうちに他の役員の秘書に回ってもらおうと思う。誰の担当になってもいいよう、心積もりだけはしておいてくれ」
「えっ? ちょっと待って、どうして……っ」
「自分の胸に聞いてみるといい。取引先へは俺ひとりで行くから、秘書課に戻って自分の仕事をしていてくれ」
呆然としてその場から動かない彼女を残し、俺は社長室を出る。
会社の前ですでに待機していた車に乗り込むと、悠花からのメッセージが届いていたので目を通した。