離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
「や、めて……」
「そんなに怖がらなくてもいいじゃない。俺、わりと満足させてあげられる方よ?」
にやりと下卑た笑いを漏らし、真木さんがベッドの上を四つん這いで移動してくる。
座った状態でずりずりと後ろに下がるも、やがて壁にぶつかって追い詰められる。
思わず目に浮かんだ涙で、視界が揺れた。
珀人さん、ごめんなさい。最初からあなたの言う通りだったのに、私がばかだったからこんなことに。でも、赤ちゃんだけはなんとしても守らないと……。
お腹を庇うような体勢で、ギュッとうずくまったその時だった。部屋の外で激しい物音がして、真木さんがドアの方を振り返る。
耳を澄ませると、会話が聞こえてきた。
「……どうしてきみがここにいる?」
「社長……私、その、あの……」
唸るように低い珀人さんの声と、明らかに動揺している鞠絵さんの声。
――珀人さんが、来てくれた。その事実を理解すると同時に、私はなんとか力を振り絞って、転げ落ちるようにしてベッドから下りる。
その時、ちょうど目の前で部屋のドアが開き、焦燥感を滲ませた珀人さんと目が合う。
「悠花……!」
大きな安堵と愛おしさが胸に溢れ、私はそのまま彼の胸に飛び込んだ。