離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
「珀人さん……っ」
「メッセージをもらって、悪い予感がした。大丈夫か?」
「はい……」
背中に回された腕が、きつく私を抱きしめた。愛しい温もりに包まれて、体の震えが少しずつ治まっていく。
「……悠花になにをした?」
鋭い声が、ベッドの方にいる真木さんに向けられる。
そっと顔を上げると、珀人さんは見たことがないほど恐ろしい形相で真木さんを睨みつけていた。
「残念ながら、まだなにも。もう少しのところだったのになぁ」
軽く舌打ちをしてそう言った真木さんにまったく悪びれる様子がない。
珀人さんは私から一度離れると、気だるそうにベッドから下りた真木さんに詰め寄り、その胸ぐらを掴んだ。
「何人の女性を傷つけたら気が済むんだ……?」
「やだなぁ、俺が狙うのは心に隙のある女性だけですよ。彼女だってあなたとの結婚生活に悩んでいたみたいだし?」
「なんだと……?」
真木さんの挑発的な言葉に、珀人さんの声音がわずかに勢いを失う。
確かに私たち夫婦には微妙な時期があったし、珀人さんもそれは自覚している。だからこそ動揺してしまったのかもしれないが、真木さんに踏み込まれる筋合いはない。
私はぐっと拳を握り、大きく息を吸った。