離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
「違います……っ」
私が声を発すると、ふたりの視線がこちらに集まる。
私は珀人さんと目を合わせて一度頷いた後、真木さんをキッと睨みつけた。
「珀人さんとの夫婦関係に悩んでいたことがあるのは事実です。でも、それは夫を愛しているからこそ、もっと歩み寄りたいと願っただけにすぎません。私の心に他の人が入る余地なんてないし、あなたのような男性はこちらから願い下げです」
上司である人に強い言葉をぶつけるのには勇気が要ったし、力みすぎて最後は語尾が震えてしまった。
それでも、ようやく真木さんに毅然とした態度を取ることができ、胸のつかえが取れる。
「……結構言うんだね、きみ。久々だなぁ、こんなにバッサリフラれたの」
しかし、真木さんはあくまで軽薄な態度を崩さない。珀人さんは忌々しそうに彼の襟を離すと、真木さんを冷たい目で見据える。
「このままZアドバンスにいられるとは思わないでください。この家に無断で上がり込んで悠花に乱暴しようとしたこと、警察に報告します」
「えっ? ……ちょっと待ってくださいよ、彼女は怪我もなにもしてないのに警察なんて大袈裟でしょう?」