離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
揺るぎない愛

 警察を呼んで状況を説明した後、真木さんと鞠絵さんはそのまま警察署へと連れていかれ、私と珀人さんはようやく静かな自宅で向き合うことができた。

 といっても、肉体的にも精神的にも疲労困憊の私はベッドの中。彼はその傍らに座って、手を握ってくれている。

「ごめんなさい、お仕事だったのに」
「自宅で警察沙汰の事案が起きていたんだ。仕事をしている場合じゃない。出張の予定もきちんと延期してもらったから大丈夫だ」

 珀人さんの話では、私がメッセージを送った時、ちょうど会議を終えて出張へ向かおうと準備をしていたところだったそう。

 でも、彼の認識では自宅に忘れ物なんてしていない。忘れたからと言って、秘書に取りに行かせることもしない。

 なにより鞠絵さんは今、彼の秘書ではない。――と、総じて違和感だらけだったため、不審に思って駆けつけてくれたということだった。

「鞠絵さんは、昔からずっと珀人さんのことが好きだったんですね。だからあんなになりふり構わず……。一度、私の会社におひとりでも現れたんですよ」
「四季が? なんのために」
「最近の珀人さんはとっても疲れていて、それは私のせいだろうと。自由にしてあげてほしいとも言われました」

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