離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
「なにをされても、私の意思が変わることはありません……」
優柔不断な自分に言い聞かせるように、そう言った。しかし、珀人さんの目を真っすぐに見ることができない。
「そんなの、やってみないとわからない」
「口ではなんとでも言えます」
「それはきみだって同じだ」
強めの口調で彼と言い合いながら、それでも言いたいことを飲み込んで暮らしていた今までの生活よりはましな気がしていた。
私たちはきっと、もう少し早く本音をぶつけ合うべきだった。後悔したところでなにもかもが手遅れなので、段々自棄になってくる。
「……じゃあ、試してください」
挑むようにそう言って、私はパジャマのボタンに手をかけた。
自分では覚悟を決めたつもりだったのに、手が震えてなかなかうまくいかない。ようやく上からふたつ目まで外したところで、珀人さんがガシッと私の手を掴んだ。
「なんで止めるんですか」
「止めたわけじゃない。……俺がやる」
彼は低い声で囁くと同時に、私の体をひょいと横抱きにする。
そのまま大股でベッドのそばまで歩みを進め、壊れ物を扱うようにそっと、私をシーツに横たえた。