離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する

「先生……私、この体調不良は悪阻(つわり)のせいなのではないかと思っています」

 神山先生が、つぶらな瞳を瞬かせて看護師と顔を見合わせる。

「三日前に検査薬を使って、陽性反応が出たんです。検査薬の精度はかなり高いそうですが、妊娠はほぼ確定と考えていいということでしょうか……?」

 布団をギュッと握りしめ、先生を見つめる。

「ええ、確率は高いでしょう。しかし、子宮外妊娠など正常ではない妊娠の場合もありますから、早めにご主人と相談して、産婦人科を受診された方がよろしいでしょう。内科医の私から言えるのは、それくらいです」

 神山先生は言葉を選びながら、ゆっくりと話した。

「そう、ですか」

 今ここで、確定診断をもらうことはできない。なんとなく予想していたとはいえ、落胆する。夫婦の今後のためにも、早くハッキリさせておきたかった。

「差し出がましいようですが、どうしてまたご主人を追い出したりなんて? まさか、お腹の子の父親が別にいらっしゃるとか……」
「い、いえ。父親は間違いなく珀人さんです。ただ私たち、離婚の話し合いをしていたところだったので……報告は慎重にしなければならないと」
「……さようでしたか」

 神山先生は、それ以外にかける言葉が見つからないよう。

 いくらお医者様とはいえ、財前家と深い仲にある人に聞かせる話ではなかったかもしれない。

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