離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
真木さんはコーヒーを一度デスクに置き、真剣な目で私を見つめる。
「アプリで遊ぶのは子どもだけど、課金できるかどうかは家庭の考え方や収入次第。もしも親御さんがダメだって言ったらあきらめるしかない。中にはあきらめきれず、子どもの判断で勝手に課金しちゃう例もあるだろ? でも、難しい問題を解くことで課金したのと同じアイテムが手に入るとしたら、なんとかその問題を解こうって思わないかな?」
確かに、ゲームの楽しさに没入してしまうあまり、親のクレジットカードを勝手に使い課金してしまう事例も少なくはない。
私たちZアドバンスが提供する子ども向けのアプリでは、できる限りそういったケースに繋がらないよう、依存性を持ちにくい内容にしているつもりだ。
とはいえ、ゲームなのだから楽しい要素がなかったら意味がない。
単に課金して報酬を得るより、積極的な学習を通して魅力的な報酬が得られるという要素の方が、子どもの学習意欲を掻き立ててくれる気がする。
……だけど、懸念点がひとつ。
「おっしゃっていること、よくわかります。私も真木さんの案に賛成です。でも、以前の課長からは『いかに課金させるかが重要だ』と口酸っぱく言われてきました。それとは対照的な提案になりますが、大丈夫でしょうか……?」
Zアドバンスのアプリは基本的に無料で使える。広告収入もあるとはいえ、課金ユーザーがいなければ商売が成り立たないのもまた真実だ。