離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
「真木くんは課長兼ディレクターとして各チームを取りまとめてもらうけど、この部署については知らないことも多いだろうから、色々教えてあげてください」
「よろしくお願いします」
部長に肩を叩かれ、真木さんが頭を下げる。彼は私たちの上司になるのだ。
ぱちぱちと拍手しながらも、どんな人なんだろうとつい探るように見つめてしまう。
「親会社で企画系の仕事をしていた人が、なんでうちの総務にいたんでしょうね?」
隣に立っていた後輩、西口葵ちゃんが私に耳打ちする。
ふわふわパーマのボブヘアがよく似合う愛嬌たっぷりの彼女は、同じチームでアプリのシステムを形にしてくれる優秀なプログラマー。
常に色んなアンテナを張り巡らせているため、情報通で噂好き。こうして誰かの異動などがあると、どうしても興味を惹かれてしまうらしい。
しかし、今回に限ってはその気持ちもわからなくはない。
総務部は会社にとってなくてはならない部署である一方、退職間近の社員や、他部署で大きなミスをしたなどの問題を起こした社員が送られる部署としても有名だった。
大多数が真面目で善良な社員たちとはいえ、真木さんの経歴を聞いた後では、総務部にいたことになんとなく事情がありそう、と私も感じていた。
だからといって、先入観で人を悪く言うのはよくない。