離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
一日がかり? 前にメッセージで送ってもらったから、これから向かう場所は知っている。だけど、そこで一日過ごすのは無理だ。
後でまた別のところへ移動するってことかな……いったいどこへ?
わからないことだらけで落ち着かないけれど、決して不安だからじゃない。
結婚してから……いや、珀人さんに恋をしてから初めてのデートに、私の心は間違いなく浮き立っていた。
ガレージから車を出した珀人さんが、玄関の外で待つ私の元までやってくる。
彼は三台の車を所有しているが、私のリクエストでシックなダークブルーの国産セダンを出してもらった。
他の二台は黄色のスポーツカーと独特な形をした外国産の旧車なので、街中を走るとすごく目立つのだ。
助手席に乗り込むと彼の運転で家を出た。窓から見える空は気持ちのいい秋晴れだ。
学園祭日和――。思わずそんな言葉が頭に浮かぶ。
今向かっている目的地は、私たちの母校である松苑学園。今日と明日の連休中に学園祭が行われていて、一日目の今日は一般公開もしている。
珀人さんは、そこに私を誘ってくれたのだ。