天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

五章*天才魔導師、悪妻に困惑をする

 ルピナが寝室のドアを閉めて、私は瞼を上げた。

(『今日も生きていてくれてありがとうございます』か)

 ルピナの言葉を反芻し、私の口角が上がった。

(親ですら言ってくれなかった言葉だ)

 子供だったころの自分を思い出し、その子を胸の中で抱きしめた。

(あのころほしかった言葉を、ルピナがくれた)

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