天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

十二章*悪妻、窮地に立たされる

 ローレンス殿下とエリカの婚約披露パーティーから、一ヶ月がたった。

 ヘリオドール王国では悪天候が続いている。

(これって、エリカのせいよね……)

 降り続く雨を窓から眺め、ため息をつく。

 原作の流れも同じだからだ。

 ヘリオドール王国は、王宮内にある王宮神殿で神官や聖女たちが儀式をおこない神に神聖力を捧げることで、瘴気を抑えモンスターの侵入や天災などから国を守っている。

 儀式の中心となるのは大聖女が管理する『聖なる花園』だ。そのため、神殿の長は大神官だが、大聖女は皆からあがめられているのだ。

 しかし、エリカが新大聖女に就任したあと、『聖なる花園』の花が枯れ出し神気が減り、ヘリオドール王国が瘴気に包まれ凶事に見舞われるようになってしまうのだ。

 花が枯れた理由は、エリカの神聖力の乱れが原因だ。もちろん、原作でそうなるように仕向けたのは悪女ルピナである。

 ローレンス殿下とエリカの関係に揺さぶりをかけ、エリカの心を乱すのだ。
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