天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
(大聖女は国全体のこと思い花を育てなければならないのに、ローレンスとの恋に疑心を抱いてしまう……。それ自体は恋する乙女として共感できるのだけれど……。エリカの力が大きすぎたせいで神聖力のバランスが崩れ、原作では大聖女としての適性が疑われるのよね)
今も原作と同じく、王国を襲う凶事がエリカのせいだとされ、エリカより相応しい大聖女を探すべきだという声があがりはじめている。
(原作では、ルピナがそれを好機として新大聖女に名乗りをあげる。「今までの悪事に見える行動はすべてエリカを見抜いていたための妨害だ」とか言って)
原作のルピナはセレスタイト公爵家の力を使い噂を広め、エリカを婚約破棄と大聖女の身分剥奪という危機に追い込んでいくのだ。
私はひとつため息をつく。
(その危機を乗り越えるため、原作のシオン様は犠牲になった。エリカの不手際なのに、「シオンがエリカの神事を妨害した」証拠を神殿に残すのよ。それを見た神官たちが、シオン様を捕らえ、シオン様は宮廷魔導師の身分を剥奪、王都から追放される――)
原作の流れを思い出し、私はうんざりだ。