天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

「よいのでありますか!?」

 挙動不審な私に、シオン様は明るく笑う。

「私からお願いしてるのだ。頼む。ルピナ」

 私は心臓を押さえながら、その場にヘナヘナと座り込んだ。

 推しのお願い顔はとんでもない威力である。

「だ、大丈夫か? ルピナ!」

 シオン様は慌てて私を抱き起こした。

(ひぃぃぃっ! 推しに殺されるっ!!)

 私はゼイハァと肩で息をしつつ、ギリギリ正気を保とうと努力する。

「だ、大丈夫です。最高の部屋を、最高に用意いたしますので、放して……。シオン様の顔面が美しすぎて死にそうです……」

 呻くようにそう言うと、シオン様は笑いながら私を引き上げソファーへと座らせた。

「あ、ありがとうございます……」

 私はソファーに座りなおすと、シオン様の淹れた紅茶をユックリ味わった。


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