天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

番外編*髪を結い心を結ぶ

 天才魔導師シオンは苦悩していた。

 後ろでは、自称「悪妻」ルピナがシオンの黒髪を梳いている。

 ユックリと味わうように櫛を通していく様は、一種の愛撫のようでもありシオンの心臓は早鐘を打っていた。

「はぁぁぁぁ……! なんて美しい黒髪。ツヤツヤの艶々ね……!」

 ルピナがため息を零す。

 シオンは鏡越しにルピナを見つめる。

「ルピナの髪のほうが美しいだろう?」

 シオンが答えると鏡の中のルピナは笑った。

「そんな訳ありません! シオン様が世界一です!」

 力説するルピナにはなにも言っても意味はない。

 シオンは苦笑いする。
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