天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
(ドラゴンを見て興奮しているのかしら?)
「私しか適任者がいない……。なら、しかたがない」
「では結婚してくださる?」
「……ああ」
シオン様はドラゴンに視線を向けたまま、私には見向きもしないで簡単に答えた。
(よっしゃー!! 知識欲が強いシオン様なら、珍しい魔獣や本を用意すれば断れないと思ったのよ! 完全完璧な引きこもり部屋を作ってよかったー!!)
私は心の中でガッツポーズだ。
「では、契約書を交わしましょう」
私が言うと、サッサとケンタウレアが契約書を出した。
「知識には定評のあるケンタウルス族が作った契約書ですからね! 心配はありませんからね! まず、ここへサクッとサインを」
シオン様が考える隙を与えずに、二枚の紙へ強引にサインを促す。
シオン様はドラゴンに気持ちが奪われているのか、抵抗もせずサインをする。
(ああ、シオン様ったら……。無防備でいけないわ。こんなことだからいいように利用されてしまうのよ)
と思いつつも、私はシオン様のすきにつけ込む。