天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
シオン様はそんな私を安心させるかのように微笑んでから、ローレンスにキッパリと答えた。
「彼女が悪女とは私は思わないからだ」
毅然とした物言いに、私のほうがビックリする。
「は?」
思わず真顔でシオン様を見上げてしまう。
シオン様は私に振り返ることもなく、淡々と言葉を続けた。
「彼女はたしかに常識に捕らわれないところがある。行動も少し強引だ。しかし、やっていること自体は悪いことではない」
「馬鹿な! あの神聖なる新大聖女誕生パーティーを荒らしておいて……」
「そもそも、ローレンス殿下があの場で婚約破棄など言い出さなければ、あのようなことはおこらなかった」
「俺のせいか? 王子である私の恋人が大聖女になったのだ。悪女と呼ばれる女より、大聖女を王子妃に迎えるほうが国のためになる」
「婚約者がいるのに恋人を作ることは正当化されない。それに、婚約破棄をするにも、あの場でおこなう必要はないはずだ。事前に手続きを済ませてから、正式な婚約者としてエリカと入場すればよかったのでは?」
シオン様の指摘に、ローレンス殿下はぐうの音も出ない。