天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

「いや、あの……その……。でも、だって、シオン様は監禁しなくても、わ、わ、私の夫……」

 便宜上ではあるが『私の夫』などと口にして、心臓はバクバクだ。嬉しさと申し訳なさがないませになる。

(推しを夫だなんて恐れ多い……! でも! だけど、シオン様を王都から離すためよ!!)

 私は腹に力を込めて演技をする。

「そ、そう! わ、『私の夫』だと言ってくださいましたから、いまさら逃げたりはしないでしょう?」

 私は平然とした表情を取り繕うが、汗はダラダラだ。

 すると、シオン様は穏やかに笑った。

「ああ、そうだな。私はルピナの夫だ。逃げたりはしない」

 そう言われ、私は心臓を打ち抜かれ心肺停止案件である。

(なに、その甘い顔。優しい声……。エリカにしか見せない表情じゃない……!!)

 私は大混乱だが、そんな動揺は見せてはいけない。
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