永遠の絆*

優しさの愛

12月に入ってもママは退院しなかった。

入院した頃は1カ月って言われてたのに、もう2カ月近くは経ってる。


それほどママの身体が弱っているって思うと何故か胸が苦しくなった。


「…学校は?行かねぇの?」


朝、翔はソファーに横たわる私を見てそう言った。

翔のマンションに来て何日が過ぎたのかなんてはっきりと覚えていなかった。

ほとんど外出さえもしてなくてずっと翔のマンションで入り浸りだった。

だからそんな今まで何も言わなかった翔はそう口を開く。


その困った様に問いかけられる言葉に申し訳なくなる。

ずっと、聞くに聞けなかったのだろう。


…迷惑かけて、ごめん。


「…うん。まだ行きたくない」


こんな調子で学校なんかに行きたくなかった。

行ってもどうせ何もしない。

葵にだってあの日から連絡さえもしていないし今、会ってもきっと私が葵に苛々をぶつけてる。

葵…、諒ちゃんに会ったのかな?

それさえも聞けない。


「そっか…」


翔は声のトーンを少し落とし小さく呟く。

本当は聞きたい事がいっぱいあるんだと思う。

だけどそれを敢えて聞いてこない翔にホッとする。


ごめんね、翔。

こんな、私ウザいよね…


「何時に帰る?」


ソファーに横たわったまま私は小さく呟く。


「あー…昼過ぎには帰れると思うけど、どした?」

「うん。ちょっと出かけようと思う。気晴らしに…」

「そっか。一人で行けるか?」

「行けるよ。そこまで子供じゃないもん」


そう言って私は身体を起しながら薄ら笑うと翔も優しく笑みを零した。


「ま、何かあったら言えよ。電話してこい」

「うん…」


そう言って翔を送り出した後、私は暫く経ってから服に着替えてマンションを出た。

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