私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜
そんなこと、言われなくてもわかってる。

私だってわかってるよ。

30過ぎた独り身の女への風当たりは強くて、肩身狭く生きてることぐらい…

ぐっと堪えてもう一度お見合い写真を見た。


このお見合いに賭けるのがこの先の私の人生…


「……。」


何度見ても超おじさんだ…!
どっからどう見ても軽く30歳は年上なんだけど!!

やっぱり無理だよ!

これは飲み込めない、たとえ拒否権がなくても私…っ

「まぁあんたに、他に結婚したい人がいるっていうなら別よ」

「…え?」

静かに目の前の湯呑を手に取った。一切音を立てることなく丁寧な仕草でお茶をひとくち飲んだ。

「あんたにそんな人がいれば、の話だけどね」

スッと視線を私に向けた、鋭いまなざしに一瞬怯みそうになった。
だけど、これを逃すわけにはいかなくて。

「いるの!」

つい言い放ってしまった。


「私、婚約者がいるの!」


思いっきり嘘をついてしまった。
何としてでもお見合いだけは阻止したくて。

「……。」

え、速攻バレた?嘘だってバレた…?

そんな目に力いれなくても、私は目の前にいるのに…

「じゃあ今度連れてきなさい」

え?


「その婚約者、ここへ連れて来なさい」


えぇ~~~~~~~~~~!!!?
< 3 / 52 >

この作品をシェア

pagetop