私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

Lie2.)

「そりゃ、そうなるでしょ」

ごくんっとブラックコーヒーを飲んではぁっと息を吐いた彼女は私の同期であり友人の小川十々子(おがわととこ)。
会社の休憩時間を狙って隣の部署から呼び出して聞いてもらったその答えがこれ。

「だって衣咲に男いないこと見透かされてんじゃん」

「十々子～～～！そなの、そーなんだよ、でも言っちゃたんだもん！」

休憩室の隅っこのテーブルで向き合いながらひそひそと、こんなの大声で言えないし十々子ぐらいにしか言えないし。

「どうしたらいいと思う？婚約者ってどこか売ってる？」

「買うぐらいならそのお見合い引き受けなよ」

「引き受けたくないからほしいの！」

「無茶な問題ね」

「…。」

自分でもなんであんなこと言っちゃったのかなとは思ってる。すぐにバレるような嘘なのに。

だけど思わず言ってしまった、どうしても嫌で…

どうしても…

「あんなハゲで太ったおじさん(推定60歳)は嫌なの…！」

絶対に嫌過ぎる…！！！

「それはきついね、私でも無理だわ」

「でしょ！」

わぁぁっと頭を抱えた。

このままじゃハゲおじ(60)とお見合いして結婚させられる…


そんなことになったら私の人生どうなるの？

本当にそれが私の幸せなの…？