私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

Lie2.)

「今日のおかずはブロッコリーの肉巻きとチーズ入りちくわの磯辺揚げといんげんの胡麻和えと…」

「すげぇ!衣咲さんプロっすね!!」

「そんなに…難しくはないから」

…と言いつつも、いつもより念入りにレシピを調べた。
だいたい炒めるだけのテキトーレシピでやってるけど、彩りとか栄養とか詰め方とか考えちゃうっていうか…

「衣咲さんて本当料理上手いんですね、今日もおいしいです」

「うん、…ありがとう」

たまにお弁当がめんどくさい日もある、手抜きにしようかなって思う日もある。

だけど…

「あ、そうだ七瀬くん!七瀬くんって嫌いなものある?何も聞かずに作っちゃったからどうかなって」

「特にないですよ、食べれたら何でも喜んで」

誰かのために作るお弁当って案外悪くないかもしれない。

「それは作り甲斐しかないんだけど」

誰かを思って作るお弁当は…
私の心の奥底、ずっと奥の方を刺激して。

ふふって笑いたくなる。


誰もいない休憩室で、七瀬くんと2人。

絶対ありえない空間が心地よい場所に変わって。


楽しみを見付けてしまった。

ただ会社へ行って仕事をして、家に帰ったら寝るだけのような生活に楽しみが出来てしまった。


そんなの初めてだったから。

明日のお弁当は何にしよう、何を作ろう。


そんなことばかり考えて、朝起きるのが楽しみになる。
お弁当作りはこんなにドキドキするもんなんだって、眠りにつくのが少しだけもったいない気さえして。


明日はどんなお弁当にしよう、明日も七瀬くんとー…
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