冷徹皇子の夜伽番 ──童貞を奪うのは私の役目?──
「……嫌です。」

思わず口から漏れた言葉に、自分自身が驚いた。

「はあ?」

アルベール皇子がガバッと起き上がり、鋭い眼差しをこちらに向ける。

「他の女に、殿下の最初の夜伽を任せるなんて……嫌です。」

胸の奥から絞り出すように訴えると、熱いものが頬を伝った。

「エリシア……」

殿下の声が揺れる。

私は拳をぎゅっと握り、涙をこぼしながら言葉を重ねた。

「アルベール皇子……私は……」

ずっと隠してきた気持ちが、もう止められなかった。

本当は好きだった。

殿下が私の名を呼んでくださるたびに、胸が高鳴った。

他の誰でもない、自分だけに向けられる言葉を、どれほど大切にしてきたことか。

「いつも……殿下に話しかけていただくと、期待してしまうんです。この人のそばにいたい。私が……殿下の心を癒したいんです。」

言葉を吐き出した瞬間、膝が震え、立っていられないほどの恥ずかしさと恐怖に襲われた。

けれど同時に、胸の奥が少し軽くなる。

それは、ずっと閉じ込めていた恋心がようやく外に出られたからだった。
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