冷徹皇子の夜伽番 ──童貞を奪うのは私の役目?──
「そうか。」

アルベール皇子はゆっくりとこちらを振り返った。冷徹な瞳が私を射抜く。

「今日は……別の者を呼んできてくれないか。」

「えっ……⁉」

あまりに予想外の言葉に、心臓が大きく跳ねた。

殿下はそのままベッドの端に腰を下ろす。

「誰でもいい。俺の夜伽を望む女は、この宮廷にいくらでもいるだろう。」

ガタガタと体が震える。

足先まで冷たくなっていくのを感じた。

「わ、私は……お気に召さなかったのですか……?」

声が掠れる。頬が熱いのに、胸の奥は氷のように冷えていた。

侍女としての命令に従ったはずなのに。

殿下に拒まれるなど、想像すらしていなかった。

アルベール皇子は何も答えず、衣を緩めるとそのままベッドに身を投げ出した。

横たわった彼の姿は、冷たさをまといながらも、どこか哀しげに見える。

私はその場に立ち尽くした。

恐れ多くて近づけないはずなのに――

胸が締め付けられるほど、そばに行きたくてたまらなかった。
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